今月は、とにかく「人の前で話す」機会が多い1ヶ月です。多いというか、これこそが今の僕の本当の仕事なんだろうなと感じています。
「人の前で話す」というと、多くの人は「話し方」に意識がいきがちですよね。声の大きさ、話すスピード、目線、堂々とした立ち振る舞い……。もちろん「表現する力」は重要ですし、それを磨くこともスキルアップとして大切です。
ただ、僕がそれ以上に重要だと思っているのは「何をどう伝えるか考え抜くこと」です。
実は個人の成長において一番大きいのはこの部分であり、ビジネススキルとしては「何をどう伝えるか考え抜く力」を持っている人が最強ではないかとさえ思っています。
前職で、僕が教育担当部署の部長をやっていた頃の話ですが、当時の上長だった役員から「月1回やっているエリアマネジャー研修を、もっと効果のあるものにしてほしい」という命を受けました。
そこで僕が考えぬいて企画したのが、「AM-1グランプリ」というものです。お察しの通り「M-1グランプリ」からインスパイアされた企画なのですが(笑)
演者と審査員がいる構図。つまりエリアマネジャーが演者としてプレゼンテーションを行い、それをジャッジするというシンプルな仕掛けです。
ルールは厳格に決めました。
PowerPointは5枚以内
プレゼン時間は5分厳守
プレゼンが終わると、参加している全AMに「○×の札」を上げてもらい、その後に審査員がジャッジします。審査員には圧倒的な権威が必要なので、役員に「松ちゃん役」をお願いするという流れです。
全AMから「この人の話を聞いてみたい」というプレゼン内容(ネタ)を事前に集めて投票で選抜して演者を確定。裏では「誰が何回選ばれ、誰が選ばれなかったか」を役員陣で共有して課題を明確にするという仕掛けも施していました。
プレゼンテーマは「改善・改革」だけ決めて基本freeです。
立場上、エリアマネジャーともなれば「会社はこうすべきだ」「現場はこう変えるべきだ」という意見を誰しも持っています。ただ、普段それを表に出す機会は滅多にありません。いざ「役員もいる場所で、自分の考えを発表する」となった時、まず自分自身で「この意見はどれくらいの温度感なのか?」に向き合うことになります。
「本当に会社を変えるために絶対にやるべきことなのか?」「それとも、同僚と飲んでいる時に吐き捨てる愚痴レベルの話なのか?」「自分が本当に伝えたい核心は何なんだろう?」
これを必死に考えるわけです。
そして、それを人に伝えるために資料化していく。「PowerPoint 5枚」「制限時間 5分」という枠の中で、提案に至る背景から実際の提案までを落とし込み、相手を納得させるストーリーを組み立てる。
これ、めちゃくちゃ時間がかかります。準備の段階から当然緊張もします。
本番では、自分の想いをぶつけたプレゼンに対して、仲間全員から○×をつけられ、役員からズバッと厳しいフィードバックを受けるわけです。時には「恥ずかしい結果」に終わって落ち込むこともあるでしょうし、突き抜けて優越感に浸れることもある。
でも、この一連の「考え抜き、表現し、評価を受ける」という流れこそが、人を一番成長させるんですよね。書籍や講義で学ぶ知識と同じくらい、「自ら考え抜いてプレゼンテーションさせる機会」を与えることが、人を一番成長させるのだと確信しています。
……と、偉そうに書いてますが(笑)、当時はプレゼンだけでなく「講話」に対する採点システムも一緒に稼働していて、参加者からリアルタイムで点数がつけられる仕掛けになっていたんですよね。なんと社長の講話にすら点数がつくわけです。(たぶん今も続いていると思いますが、物語コーポレーションでは毎週の全社朝礼での「リーダー講話」にも点数がつけられ、その日のうちに結果が発表されます)
実は僕、その朝礼の講話で当時「歴代最低点」の記録を持っていましたし、AM研修での講話で「0点」をつけられたことだってあります。
意外と凹みます(笑)かなり凹みます(笑)二度と話してたまるか!!と思います(笑)
「僕も0点を取ったんだから、あなたも甘んじて受け入れなさい」と言うつもりはないですが、あの時の屈辱や低い評価と向き合った経験が、今の僕をつくってくれているのも紛れもない事実です。「プレゼンテーション」の経験が、一番自分を成長させたと思っています。
*写真は、福岡県那珂川にある喫茶キャプテン。素敵な外観。素晴らしいプレゼンテーションだと感じました
#129 「話し方」より「何を話すか」
