『「いいじゃん、いいじゃん」って言ってばかりいられないですよね。ちゃんと言うべきことは言わないと』
そんな類のことを、遠回しによく言われました。
僕は否定しない人。
いわば「いいじゃん部長」だと思われていたのかもしれません。これはひょっとして嫌味か?と感じたこともありました。
「いいじゃん」だけでは成果なんかでないことくらい百も承知で、それだけで組織のトップは、はれない。
できるだけ自分が考えたことをやらせたかったこともありますし、自分の基準で判断すると、出てくる施策も自分の範囲に収まっちゃうのが嫌なので、あえて自分の想定外を通すことは確かにあったとは思います。その結果、他の部長より称賛や推進の言葉は多いタイプだったことは否定しません。
多くの職場では「いいね」よりも
「指摘」の方が多くなる。
上司側からしたら、そもそも「いいね」というレベルではないという言い分も正しいと思いますし、上司にもそのまた上司からの評価があるわけで、無意識に失敗回避を優先することもあるとは思う。
結果として、賛成より心配や指摘が増えてしまうのが現実。
会社組織の人間関係のもつれは、大体こういうところから始まるものだ。
ただし、組織に属している限り、この構造から完全に自由になることは難しいし、ゼロにすることも難しい。
「心理的安全性」とか「風通し良く」とか言うが、
会社組織は「自分の評価を下げたくない」という意識がうごめいている環境である以上、なかなか一筋縄ではいかないものです。
組織には「止める人」だけでなく「進める人」も必要で、それはどっちが正しい?ということではなく役割の違いに過ぎない。
慎重にリスクを抑える人がいなければ不安定になり、前に進める人がいなければ何も始まらない。しかし人事異動でタイプを半々に配置できるか?というとそんなにうまくいく話でもない。
結局、その割合をどうするか?というよりも、「幹部同士がどこまで腹を割って話せる関係にあるか」に重きを置くのが建設的なのだと思うのです。
幹部同士が互いの意図や得意分野を理解し「自分はこう動くから、ここは任せる」と言い合える補完関係があるときの組織は強いです。
よく大企業病と言われますが、それは会社の規模の問題ではなく、幹部同士の意思疎通の分断状況の問題であり、売上規模は関係ありません。むしろ中小企業ほど、プレイイングマネジャーが多く忙しさのあまり幹部同士の関係性が分断されていたりするものです。
組織が抱える問題は
「いいじゃん部長」を揶揄したり、「否定型の上司」を非難しても何も解決しません。自分の周りの幹部が、何を考え、何を得意とし、何を大切にしているか。それを知っているかどうか、理解しているかどうか、補完しあっているかが、その組織の未来を決めるのだと思う。
隣に座っている幹部が、「本当は何を守ろうとしているのか」を知らないまま動いている会社は少なくない。
それが続いていくと、ある日突然雪崩のように組織が崩れていく。そうなると、ちょっとやそっとじゃ元には戻れないものです。
*写真は、27年前私が店長だった時の直属の上司。対談の模様は3月のSTANDS JOURNALで公開します
#25 「いいじゃん上司」と「否定上司」
