僕はラーメンが好きです。
かなり好きです。
前職で8年間、ラーメン事業部の事業部長を務めていたから、というわけでもありません。もっとも、当時は来る日も来る日もラーメンを食べていた記憶がありますが(笑)。
僕が本格的にラーメンを食べ歩くようになったきっかけは、事業部長を離れた後の「単身赴任」でした。僕は愛知県豊橋市に購入した自宅を拠点に生活していたのですが、人事異動で東京勤務となり、単身赴任生活が始まりました。
単身赴任がスタートして数日。
なんだか急に虚しくなったんですよね。
ホームシック??(笑)
「この時間って、いったい何?」って。
家族がいるのに、家族と離れて暮らす。仕事が終わって家に帰っても、話す人が誰もいない。もちろん、LINEも電話もあるけど、毎日そんなに話すネタがあるわけでもなく、「特に何もないんだけどさ……」と電話するのも、なんだかなあ、と。このまま65歳までこんな生活が続くのか……。
そんなことを考えると、急に虚しさがこみ上げてきて。
要は、仕事が終わってからの時間を持て余していたってことなのですが。
お金が湯水のようにあれば、毎晩好きなことをして遊べばいいのかもしれません。でも、当時の我が家は5人家族で、なんと4拠点生活。僕と長男がそれぞれ東京で一人暮らし。次男は船橋で一人暮らし。妻と三男が豊橋の自宅。しかも、75歳まで続く住宅ローンを抱えながら、長男と次男の私大の学費も払い。高齢の両親は北海道と福岡に….と、なかなかのものです(笑)。
かといって、この虚しい時間をどうするの?耐え忍ぶだけ??
そこで考えたんです。
それは、「この単身赴任を使って、何かのプロになろう!」って。
まじめでしょ(笑)。どうせ一人で暮らすなら、この環境を利用して何かを極めてみよう、ってことですね。
単身赴任の大きなメリットは、毎日の晩ご飯を自分で決められることです。当時の僕は、食べログを見ながら「今日はどこで何を食べようかな」と探すのが趣味でした。食べに行こうが行くまいが、とにかく「探すこと」が好きだったんです。そこで思いついたのが、ラーメンです。
プロを目指すというより、「ラーメンオタク」を目指そう、という方が正しいかもしれません。
ラーメンの事業部長を8年間務めていたので、一般の方よりは多少なりともラーメンの知識がある。この知識を、そのまま眠らせておくのはもったいない。だったら、もっと磨き込んでみようじゃないか!しかも当時は、1杯1,000円を超えるラーメンなんて、ほとんどなかったし。これなら、毎日食べても何とかなるって。で、せっかく食べるなら記録も残そうということで、Instagramへの投稿も始めました。
それからというもの、僕の生活は一変してですね。朝起きると、まずは「今日はどこのラーメン屋に行こうかな?」と考える。そして仕事を頑張って、夜は目当てのラーメン屋へ行く。これが毎日の楽しみになったんです。
当時は幡ヶ谷に単身赴任していたので、通勤経路は新宿で乗り換えて青山一丁目まで。この沿線にあるラーメン屋さんは、ほぼ制覇したんじゃないかと思います。出張に行く時も、まず調べるのはラーメン屋さん。仕事の予定を確認するのと同じくらい、現地でどこのラーメンを食べるかが重要でした(笑)。
コロナ禍で一時中断しましたが、それまでは年間100杯以上、新しいお店のラーメンを食べていました。ルールは「一度行ったお店には、二度行かない」ということにして、できるだけたくさんのラーメン体験を続けました。
そんな生活を続けているうちに、自他ともに認めるラーメン好き(ラーメンオタク)になりましたね。味の違いはもちろん、スープや麺、具材、調理方法など、自分なりのこだわりも語れるようになりました。今では、ラーメンの写真を見ただけで、だいたい味のイメージができます。そして実際に食べてみても、そのイメージが大きく外れることは、ほとんどありません。天下一品さんの「こってり」だけは規格外で、見事に予想を裏切られましたが(笑)。
58歳になった今は、多少なりとも体に気を遣うようになり、ラーメンを食べる頻度は少し減りました。でも、ラーメンへの意欲は、まったく衰えていません。今でも知らない街に行けば、まず美味しそうなラーメン屋さんを探してしまいます。結局、好きなことって、そう簡単にはやめられないんですよね(笑)。
「北村さん、一番美味しいラーメン屋教えてください」っていう質問が一番困ります。決められないですよ(笑)なのでその質問はやめてください(笑)
※写真は、来来亭さん
#134 ラーメンが単身赴任を救う
