社長が「次の部長、誰にしようか?」と考えるとき、候補に挙がるのは結局のところ「自分がよく知っている人」です。どんなに能力が高くても、社長の頭の中に顔や名前が浮かばない人は、選択肢のリストにすら載りません。出世したければ、まずは社内で「知られている存在」になること。これはよく言われる話ですし、現実としてその通りだと思います。
でもこれって、人事だけの話ではないんですよね。
僕たちの日常のあらゆる選択が、同じ仕組みで動いています。
たとえば、今日のランチ。
突然、「南アフリカ料理を食べに行こう」とはなかなか思わないですよね。食べたことがない、あるいは身近にないものは、そもそも選択肢に入ってきません。洋服を買いに行くときもそうです。見たことも聞いたこともない店には足すら向かない。結局、自分が知っているブランドや、いつもの店に入ってしまう。
人は誰しも、「自分の知っている言葉や体験」の中からしか選べない生き物なのです。
そして、この仕組みは会社における「社員の行動や判断」でもまったく同じことが起きているよなと思うのです。
現場でどう動くか、何を基準に判断するかを決めるとき、人は「自分が日常的に知っている言葉」か「上司がよく使う言葉」の中からしか選択肢を選べないのです。だから、いくら立派な「経営理念」があっても、それが社員にとって「日常の言葉」や「上司が使う言葉」になっていなければ、行動の選択肢に入ってくるわけがないのです。つまり「理念が浸透していない」というのは、要するに「使っていない」ということですね。
僕が在籍していた物語コーポレーションで、当時小林会長は、「理念を全員で唱和するなんて、死んでもやりたくない」とおっしゃっていました。ところが、あるとき朝令暮改して、毎週の朝礼で全員で唱和することを始めました。実際、そうでもしないと理念が自然と社員に浸透していくなんてことはあり得ない、という判断だったのだと思います。ただ飾っておくだけで言葉が身につくほど、人間は都合よくできていませんから。
「全員で唱和」なんて、僕だって嫌です(笑)でも、最初はどこか作業のように声を合わせているだけでも、毎週毎週やり続けていくと、不思議なもので自然とその言葉が体に染み込んでいくものです。
そして、一度「知っている言葉」として頭の中に根付くと、現場で判断するときに、自然とその理念の言葉を使うようになる。選択肢として頭にパッと浮かぶようになるものなんですね。
「理念がなかなか浸透していない」と感じている経営者の皆さま。きっと圧倒的に、経営理念の説明が足りません。もっともっと説明し、朝礼で唱和をしてまでも日常の言葉にしておくことが重要です。
そのことが、結果として、一人ひとりの理念体現につながり、会社が求める行動をとる社員が増えていくのです。つまり結果として、業績を変えることにつながると思います。
*写真は、先日お墓参りの後に、90歳の母と行った「とんでん」で食べたお食事。
告知)※10月14日(水)18時30分~20時30分福岡県春日市にてセミナーを開催します。
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