9月も終わりましたね。
10月14日福岡でのセミナーが近づいてきました。
今回のセミナーでは、物語コーポレーションの事例も交えながら話をするので、久しぶりに物語コーポレーションのHPを見たり、統合報告書を読んだりしています。いやー、もうすでに懐かしい(笑)。昨年の9月28日がオフィスへの最終出社日で、その後は海外研修の引率だけだったので、青山一丁目のオフィスに通わなくなって、もう1年になります。
早いです。
僕が物語コーポレーションに入社したのは2001年。そこから2025年末に退職するまでの約25年間で、売上や店舗数はおよそ25倍になりました。25倍って何??(笑)ですよね。すごいんだか、すごくないんだか、よく分からなくなります。25倍っていったら、年収500万円だった人が、年収1億2500万円に大幅アップですから……って、たとえがおかしいか(笑)。
この25年間の売上の推移をグラフにすると、実にきれいな右肩上がりなんですね。でも、中にいた僕の感覚をいうと、歩く歩道にのってるスムーズな感じではなく、砂利道をみんなで必死になって背伸びしながら神輿を担ぎ上げ続けてきたような感じで。もうバリバリ筋肉痛です(笑)。
止まりたい時もあったし、神輿担ぎから抜けたくなる時もあったけど、そんなこと考えてる暇がないくらいのワッショイワッショイ。
でも、その筋肉痛が僕自身を成長させたと思ってますし、今の物語コーポレーションを支えている幹部の皆さんを育ててきたんだとも思っています。
じゃあ、何による筋肉痛が一番大きかったのか。
僕にとって一番大きかったのは
「埋もれるな」という負荷です。
「埋もれてるやつは卑怯者」という負荷です。
子どもの頃から、「目立たないように」「みんなと同じように」と育てられ、会社に入ってからも、「俺が白と言ったら、お前が黒と思っても白だ」みたいな上司が普通にいました。
ところが、物語コーポレーションでは真逆でした。
「北村さんは、どう思うの?」「手なんて挙げなくていいから思ってることはすぐに口に出しなさい」「なぜ言わない」「自分の意見はないのか」「幹部は後ろに座ってないで前に座りなさい」「会議室に入ってくるときは、大きな声で挨拶をして入ってきなさい」・・・・・・・・・・
とにかく、自分の考えを求められる。そして矢面に立つことを求められる。
これは、ものすごい負荷です。
でも、何度も何度も聞かれるから、そのうち考えるようになります。いつ聞かれてもいいように、自分の意見を持っておこうってなるし、そのうち、どうせ言うなら一番最初に言ってやろうと思ったり、たまには一番最後にまとめてやろうと思ったり。会議や研修では、当然一番前の正面に座るし、「何か質問は?」と言われたら、真っ先に手を挙げる。少なくとも僕は、そんなふうに変わっていきました。
今、物語コーポレーションで幹部と言われている人の多くは、こうした「筋トレ」を長い間経験してともに育ってきました。なので、相当マッチョですよ(笑)。
……と。
ここまで思い出を振り返ってきましたが
これって、ただの「生存者バイアス」なんじゃない?っていう意見もありますよね。
「俺たちの時代は、こうやって鍛えられた」「厳しく言われたから成長できた」そんな昔話を、今の時代の人たちに押しつけないでくださいよ、と。それって、一歩間違えれば、ただの老害ですよって。
もちろん、その指摘はもっともだと思います。「埋もれてるやつは卑怯者」なんて言葉を、そのまま今の部下に投げつければいいなんて思ってないし、言い方も、伝え方も、相手との関係性も、時代に合わせて変えていく必要がありますよね。これって物語コーポレーションに限らず、成長してきた企業が、どこかで向き合うテーマなのかもしれませんよね。「これまで人を育ててきたもの」の中で、何を変えて、何を残すのか。
僕自身、「埋もれてるやつは卑怯者」という言葉を残したいわけではなく。でも、その奥にあった「埋もれるな」という思想は、今でも極めて本質的だと思っています。
人から答えを教えてもらうだけではなく、
「あなたは、どう思う?」と聞かれる。
自分なりに考える。
言葉にしてみる。
人に伝える。
違う意見を聞く。
もう一度考える。
この繰り返しによってしか鍛えられない「思考の筋肉」が、やっぱりあるんじゃないかと思うんです。
僕自身、最初から自分の意見を堂々と言える人間だったわけではありません。
何度も何度も何度も何度も、「北村さんは、どう思うの?」と聞かれ続け。いつ聞かれてもいいように、自分なりの意見を持つようになり、少しずつ、それを自分の言葉で表現することができるようになって。
だから、「埋もれるな」という言葉そのものを残したいのではなく、
残したいのは
「自分はどう思うのか」を考えること。
自分の頭で考え、自分の言葉で表現すること。
そして、
自分という存在を、周りに知ってもらう努力をすること。
これは時代が変わっても、人が成長していくうえで、極めて大切なことだと思うのです。
そして、これを書きながら、10月14日のセミナーで何を話そうかも、少しずつ見えてきました。
企業はどうすれば「自分で考え、自分で成長していく環境」をつくれるのか。
僕に与えられた30分の時間では、物語コーポレーションのちょっとした裏話も交えながら、そんな話をしてみようと思っています。
#120 「埋もれるな」は、もう古いのか?
