「美味しいと売れるは違う」この言葉は、物語コーポレーション入社当時から、よく聞かされたマーケティングの言葉です。最初聞いた時は、「美味しければ売れるはずじゃないか」「美味しいものをつくれないことへの言い訳じゃないのか」くらいに思ってましたが、時間が経つにつれて、その言葉の意味が分かるようになってきて、今では、商品に限らず、世の中にはそういうことがたくさんあると思っています。
・イケメンだからといって、モテるわけではない。
・仕事ができるからといって、出世するわけではない。
・一生懸命だからといって、必ず成果が出るわけでもない。などなど
つまり、「必要条件」と「十分条件」は違うということなのだ、という理解です。
・「美味しい」は必要かもしれない。でも、それだけで売れるわけではない。
・「イケメン」も魅力の一つかもしれない。でも、それだけで選ばれるわけではない。
・「仕事ができる」ことも評価される要素の一つ。でも、それだけで役職が決まるわけではない。みたいな
結果というのは、いつも一つの条件ではなく、いくつもの条件が組み合わさっています。だから、「これさえやれば大丈夫」と一つの考えに固執することは危険であり、物事を多面的に見ることが必要になってきます。
ただし、リーダーが部下に何かを伝えるときは「あれも大事、これも大事」と言っても、人は動きません。なのでリーダーは、たくさんある可能性や要因を理解したうえで、最後は一つに絞って伝える必要があります。「これをやり切ろう」「これしかない」そう思える一点を示し伝えることがリーダーの仕事なのです。
では、リーダーは「たくさんのやるべきこと」の中から、どういう基準でやるべきことを1つに絞りこむべきなのでしょうか。
僕は、それは「理屈」ではなく「心が震えるもの」という基準だと思っています。
やるのも人間。
買うのも人間。
結局、すべては人間社会の中で起きています。だからこそ、「人の心を震わせるもの」が一番強いはず。
心が震える商品。
心が震えるサービス。
心が震える会社。
そこに人は動かされます。
「美味しいと売れるは違う」これは間違いありません。でも同時に、「人の心を震わせるものは、選ばれる可能性を最大化する」これもまた、真理なのだと思います。
そして、その一点を見つけ、そこに全員の力を集中させること。それこそが、リーダーの勝ち筋なのだと思っています。
*写真は、生まれて初めて「美味しい!」と思った焼きおにぎりの写真(京都 炭炉まん)
#98 「美味しいと売れるは違う」という話
