先日、「明日のおもてなしを変える 笑顔と笑声(えごえ)セミナー」というものを受講してきました。主催は一般社団法人IMSAという「接客・おもてなし」のプロを育てる団体で、世界共通の資格も発行している本格的なところです。たまたま別の用件で話を聞いている時にサイトを覗き、「ほう、こういう世界があるのか」と興味が湧き、その場でポチッと申し込みました。
もともと「映画・本・セミナーは当たり外れがあって、どちらかというと外れが多い。迷うくらいならまずは試す」というスタンスです。今回も深い考えはなく、好奇心に任せて飛び込んでみました。
……ですが、当日のオンライン画面が開いた瞬間、とりあえず僕だけオッサンで(笑)まじか….と。あとは全員たぶん20代のおしゃれな飲食ブランドに勤める若いスタッフさんばかり。しかも、じっくり講義を聞くスタイルのウェビナーかと思いきや、顔出しで実践練習を行う体験型セミナーでした。完全に浮いている自覚はありつつも、恥ずかしさを隠しながら必死についていきました(笑)。「北村さん、感想はどうですか?」とか名指しされるし、変な汗いっぱいかきましたよ。
しかし、このセミナーが期待以上に面白かったのです。58歳の僕が、この接客ノウハウを明日からどこで使うんだ?という野暮な問題は一先ず置いておくとして、響く学びがたくさんありました。
たとえば、
・入店から7秒以内に「笑顔交換」をする
・お客様より先に笑顔になる
・口角だけじゃなく、目は「三日月目」を意識する
・お出迎えの時の声は「ファ・ソ」、注文を受ける時は「ミ・ファ」の音程
・声だけで笑顔が見えるように話す
・話すときは、口に指が縦に3本入るまで大きく開けて話す
もう、これだけでも完全マニュアルが出来そうですよね。私が以前在籍していた会社でも、ここまで笑顔や笑声を分解してなかったよな、と。
特にハッとさせられたのは、講師の方から「料理人は包丁を使って仕事をします。じゃあ接客の私たちは何を使って仕事をしますか?それは表情筋です。笑顔です。笑顔を使って仕事をするのです。真顔は、不機嫌を撒き散らしているのと同じですよ」と。
正直、「笑顔」が大事といいながらも、それはそれぞれができる範囲の精一杯でやればいい。ある意味「善意」のような認識があったかもしれません。しかし、「接客のプロは、笑顔という道具を使って仕事をするのだ」と言われたのは人生で初めてです。料理人が包丁を使わずに料理をしないように、笑顔という道具を使わずに現場に立つな、と。
「できる人がやればいい」くらいの生ぬるい意識ではダメで、「プロの仕事なんだ」とここまで言い切ってもらえて、初めて本当の重要性が腹に落ちた気がします。
包丁の手入れをするように、笑顔をつくる筋肉もプロとして日々鍛えなければいけないのですね。実際、セミナーが終わる頃には頬の筋肉が筋肉痛になっていました(笑)。とりあえずサービス業に従事する何百万人という人たちに同じトレーニングを受けてほしいくらいです。
飲食店やサービス業に限らず、人と接する仕事をしているすべての人にとって、「笑顔」は大切なプロとしての嗜みだと痛感させられました。アウェイなセミナーでしたが、参加してよかった。僕は僕の立場で、笑顔の価値を広げていきたいと思いました。
#94 笑顔と笑声
